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琉球古武術研究所

《 現在の研究課題 ――― 伝統・伝承形の理合と実践試合 》

代表  庵原・忍体術  師範  武集館 雲斎



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■[釵]の使い方 切子打ち new
■[釵]の使い方 裏打ち


■[釵]の使い方 逆手持ちから順手持ちへ


■[釵]の使い方 順手持ちから逆手持ちへ


■[釵]の使い方 ゆっくりやると



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釵の形


棒術に続いて釵術にも数多くの「演武形」がある。

浜比嘉の釵、 北谷屋良の釵、 端多小の釵、 多和田の釵、 津堅志多伯の釵、
浜御殿屋可阿の釵、 湖城の釵、 知花の釵、 千原の釵、 喜舎場の釵、
渡久山の釵、 石川小の釵、 慈元の釵、等がある。

 平 信賢(昭和45年没・行年73歳)という先生が、空手道を船越義珍先生に学び、琉球古武術(沖縄古武道)を屋比久猛伝先生に師事された。
 空手道の普及発展はあったが、長い歴史をもつ琉球古武術(沖縄古武道)が発祥地沖縄でさえ衰微の一途を辿る現状を嘆かれて、調査・研究の結果に数々の形を集大成された。
そして、組織を編成して保存・振興が行われた。
 屋比久猛伝 ―― 平 信賢 ―― 井上元勝 ―― 井上貴勝
 屋比久猛伝 ―― 平 信賢 ―― 坂上隆祥 ―― 坂上節明
他にも数々の先生方が継承・伝承をされている。

 同じ先生に師事された、上記の井上元勝・坂上髀ヒの両先生の出版された本を見ると、
同じ「演武形」でも各動作がかなり異なっている。ここが不思議なところである。

 月刊秘伝2011年12月号に、『沖縄剛柔流の外間哲弘先生によると、昔の師範方は「この程度」という言い方で動作や姿勢を示し、腕の角度を45度にしろ、足を肩幅に開けといった具体的な教え方はせず、「こんな感じでやれ」と少し見本を見せるだけの指導法だった・・・・・・』とあるが、これが当てはまるかどうかは分からない。

 平 信賢が釵の形を八つ遺しているが、その内の一つ「慈元の釵」は平 信賢が創作したものであるので、古流としてみれば、正しくは七つの形となる。
天和二年(1681年)に将軍綱吉の御前で演武したといわれる「浜比嘉の釵」が最も古いものだと思われる、そして「北谷屋良の釵」「端多小の釵」「多和田の釵」「津堅志多伯の釵」
「浜御殿屋可阿の釵」「湖城の釵」がその後の時代のものだと思われる。

 上記七つの形の中身を分解すると、三種類の大きな技の特徴があり、各形はその内の二種類をそれぞれ取り入れた内容となっている。
形としては異なっているが、殆どが同じようなものである。
七つの形の共通点をみると、「浜比嘉の釵」・「浜御殿屋可阿の釵」・「端多小の釵」が似ている部分が多い。
次に、「津堅志多伯の釵」・「北谷屋良の釵」・「多和田の釵」が似ている部分が多い。
更に、「湖城の釵」・「慈元の釵」が似ている。
そして、以上の形の全体的共通点は、「浜比嘉の釵」が元(源)となっていると思われる。

 七つの形の中で、[釵]を本手で持って突き刺すという動作は「端多小の釵」と「湖城の釵」の二つの形にあるだけで、殆どが逆手持ちの突きである。
これが、その他の系統の団体に於ける別の形では、頻繁に本手持ちの突きが使われている。
注: [釵]の逆手持ちとは、翼に親指をかけて柄部を前に出した持ち方である。
[釵]の本手持ちとは、柄を握って物打を前に出した持ち方である。


 そして、平 信賢が愛弟子の井上元勝に創作して贈ったのが、卍釵(柄頭の切子型球状は無くて、柄の部分も物打の先端と同じ形状をした釵)を使用する「慈元の釵」である。
[湖城の釵]と殆ど似たものであるが、これには本手持ちによる突きが多く、更に卍釵なので、逆手持ちでの突きでも突き刺さる。
古き古武術を研究した平 信賢が、何かを気付いたかのようである。

 [釵]の逆手で突くことについて、『図説・武器術』小佐野淳著では
『鉄尺は長兵器に対しては明らかに不利である。反転させて(逆手持ち)柄頭で突くのは技の原則からすれば逆効果である。武器は、離れている敵にいかに効果的な攻撃を与えるかが、その役目となっている。わざわざ鉄尺を返して短くし、敵に接近しないと使えないのは不合理である』
というようなことが書かれている。
ここでいう鉄尺は[釵]のことに他ならない。

 更に、『沖縄の釵では、釵を返したときに肘から出る一寸(約3cm)ほどの先端で後方の敵を突くというが、そんな難技は実践ではほとんど役立たない』とある。
この本を読むと、あれこれと思い知らされることがあり、修行経験者にはショックがある。
しかし、自分だけが正しいと思い込んではいられない。
興味のある方は、『図説・武器術』小佐野淳著(株)新紀元社2007年発行版を一度読んでみてください。
新たな発見が多々あると思います。

 各流派において、同じ名称の形でも、技の演武順は同じでも受けが攻撃・或いは攻撃が受けの違い。
下段払いのあるかないか。背中側に振り向くときの運足の使い方の違い。
(一般的空手の形のように、後足を移動して振り向くタイプと、後方からの攻撃を避けるために前足を移動して振り向くタイプ。)四股立ちと片足一本足立ちとの違い。釵の回し方の違い。等が多々ある。

 いずれに於いても、棒術と同じく、各流派、各道場、各師範、各後継者 それぞれにそれなりの特色があり、力の強弱・技の緩急・身体の伸縮・動きの静と動・技の連続と単独、等々 十人十色独特の特徴を表している。


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